面的エネルギー利用・地域熱供給の実態調査・普及促進検討

都市におけるエネルギー利用については、地球温暖化対策としてのCO2削減や、エネルギー資源輸入増対策としてのエネルギー利用効率化に加え、近年は災害時におけるエネルギー自立性確保が求められてきています。今後のまちづくりにおいては、これらの課題に対して一体的に取組を行うことが必要とされており、エネルギーの面的利用は、都市に賦存する未利用エネルギーの活用や、総合エネルギー効率が高く自立電源導入に有効なコージェネレーションシステムの活用が可能となるため、有効な施策のひとつです。
弊社ではこれまで、経済産業省や国土交通省から委託を受けて、都市におけるエネルギーの面的利用や、地域熱供給の実態調査および、普及促進に向けた方策の検討を数多く実施してきています。

一例として、平成22年度に経済産業省の委託を受けて実施した、省エネルギー設備導入促進指導事業(エネルギーの面的利用・未利用エネルギーの有効活用と普及方策のための調査事業)について、その一部を紹介します。

(1)エネルギーの面的利用に係る情報整理

国内においてエネルギーの面的利用を実施・計画している事例情報を収集し、その概要を類型別(地域熱供給、地点熱供給、建物間融通)に整理するとともに、これら導入区域と都市計画(地区指定)や地域特性(熱需要密度、区域面積、容積率、熱負荷密度)との関係について分析を行いました。

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(2)未利用エネルギーに係る情報整理

地域冷暖房などをツールとして面的利用が期待される、ごみ焼却排熱・下水熱・河川水等の未利用エネルギーの賦存状況や活用状況、活用可能状況を、全国を対象として調査し、都道府県別に収集分析しました。
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(3)都市開発ならびに既成市街地土地利用に係る情報整理

三大都市圏およびその他の主要都市を対象として、熱の需要側として都市開発や既成市街地の既設建物に関する地域情報を収集分析しました。

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(4)省エネ・省CO2ポテンシャルの分析

全国の未利用エネルギーおよび都市開発に関する情報を使って、エネルギーの面的利用および未利用エネルギー活用の導入拡大により期待される省エネルギー効果、省CO2効果を推計しました。その結果、エネルギー面的利用の導入促進効果は、最も大きい場合、全国で一次エネルギー消費削減量:約43,000TJ/年、CO2削減量:2,320千t-CO2/年と試算されました。これは高木約3,450千本(日比谷公園の約1,050 倍の樹木)の年間CO2吸収量にも相当する大きなポテンシャルです。

(5)経済性等の分析

エネルギーの面的利用および未利用エネルギーの利用により期待できる経済的効果を調査分析しました。その結果、エネルギーの面的利用が全国に普及拡大した場合のエネルギー削減費の合計は181~765億円/年、建設増加費は4,213~17,865億円、対策コストは204~863億円/年と試算されました。同じく、未利用エネルギーの利用拡大により、エネルギー削減費は75~509億円/年、建設増加費は1,371~9,346億円、対策コストは66~452億円/年と試算されました。いずれも大きな経済効果が期待できるものとなっています。