都市近郊の大規模住宅地を快適空間に(住宅開発地の面的無電柱化)

弊社は、電線類の無電柱化に関する調査・設計業務ついてかなり早い時期から取り組んできました。
JR津田沼駅南口土地区画整理事業地区は、東京駅から快速電車で約30分という至便なJR津田沼駅の徒歩圏にありながら、農地、未利用地が大半だった35haを土地区画整理事業で優良な住宅地や商業地に変える事業で、2013年度に竣工しました。
この地区は、「安全で快適な歩行空間の確保」「都市景観の向上」「都市災害の防止」「安定したライフラインの実現」を目的に、地区全体の電線類を無電柱化しています。

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「奏の杜」と名付けられた新しい街は街開き以来急速に市街地化が進み、多くの住民で賑あう快適な空間に変貌しました。
開発者(土地区画整理組合、業務代行者)から委託をうけ、美しいまちなみ景観づくりに貢献した弊社の業務について紹介します。

(1)住宅地の無電柱化の現状と問題点

国土交通省の発表では日本全国には3500万本もの電柱があります。100%近くの電線地中化がされた欧米主要都市に比べ、全国で最も進んでいるという東京都でさえわずか7%で、現在ではアジアのライバル都市にさえ後塵を拝しているような状況です。

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国による無電柱化への取り組みは30年以上前から行われていますが、国道など主な道路が中心で一般の人に身近な商店街や住宅地の無電柱化は進んでいません。そのため、われわれも電柱がない快適な空間になじんでいません。
住宅地で無電柱化が進まない大きな理由に、道路幅員の狭さと地上機器の設置位置の確保があります。電線を道路に埋設するには、同じ道路に埋設される上下水道管、ガス管をよけスペースを確保する必要があります。特に住宅地は歩道のない幅員6m以下の生活道路が主体なので、埋設管の占用位置について、入念な調整が求められます。
地上機器とは、架空線で電柱に設置されているトランス(変圧器)や開閉器を、無電柱化の際地上に設置する箱形機器を指します。通常は歩道部に設置されますが、箱の設置スペースの他、周囲に作業スペースが必要になります。
これらの課題を既成の市街地で解決するには多くの時間と費用がかかりますが、本地区のような新規の開発地区では当初から無電柱化を前提とした綿密な計画を行うことにより実現が可能となります。

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(2)住宅地の無電柱化を実現する基本設計【計画】

電線の無電柱化は開発者の思いだけではなく、道路を管理する行政、関連する電線管理者(電力、通信)、そして地域住民の皆様。こうした三位一体の協力体制の確立が必要です。このため、開発者は早期に全体の基本計画を立案し、関係者にその概要を示し周知を図りました。この結果、行政や電線管理者の協力と地区の住民の同意を得て、この地区の無電柱化は電線共同溝方式で行われることとなりました。
幅員の狭い道路内の電線共同溝の整備に当たり、下水道管の占用位置を道路中心からシフトし電線共同溝の敷設位置を確保し、地上機器設置スペースはごみステーション等と同様に換地計画の中で位置を設定しました。

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(3)無電柱化を実現する実施設計【設計】

電線共同溝の実施設計は道路の整備計画に合わせて行いますが、工事と並行して設計を行っていましたので工事中に発生する想定外の課題・要望に対して臨機に対策を提案しました。特に交差点内で先行管が設計通り施工されていない場合などには、後から施工する電線共同溝側での対応が必要となり、時には3次元モデルを作成して検討しました。
また、電線共同溝方式は多くの法手続きが必要なため、その都度行政と相談をしながらプロジェクトを進めました。

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設計上とりわけ問題となったのは地区周辺部との接続(連系管)です。本地区の周辺部は架空線で電線が整備されているためその境界部でケーブルを架空線から地中に落とす必要があります。その場所や本数は電線管理者の要望に基づきますが、数が多く費用も大きいためどうすればそれを最小にできるか逆に提案し、調整を図りました。また、開発者は各地権者と協議を行いすべての宅地に供給処理管の引込位置を設定しました。その位置に合わせて電線の引込管を設計し、工事を開発者が自ら行うことにより大幅な施工費用の削減を実現しています。

(4)本体完成後の管理図書の作成【設計】

電線共同溝が完成し、電線管理者がケーブルを敷設して終わりではありません。電線共同溝を開発者から行政(道路管理者)に移管する際、管理用の電線共同溝管理台帳を作成する必要があります。このため整備の途中段階から、行政と開発者間で協議を行い管理台帳のひな型を作成しました。これに電線共同溝工事の竣工図書、そして電線管理者から膨大なケーブルの敷設情報を入手・反映して、地区全体の電線共同溝管理台帳を作成しました。
行政に移管された電線共同溝は、今後この電線共同溝管理台帳により管理されます。

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