エネルギーの地産地消による環境共生型の復興まちづくり(新地町スマートコミュニティ事業)    

福島県の浜通り北端に位置する新地町は、大津波により町面積の5分の1が浸水するなど、東日本大震災により大きな被害を受けました。新地町の復興事業は、住まいの再建事業から始められ、その後、新地駅周辺の市街地整備事業を軸とした「環境と暮らしの未来(希望)が見えるまち」の具現化を目指した拠点づくりが進められてきました。その中核として、エネルギーの地産地消と災害に強い持続可能なまちづくりを目指す「新地町スマートコミュニティ事業」が進められています。弊社は2015年より本事業に携わり、エネルギーシステムに関する調査・計画・設計・監理を行うとともに、現在も熱電供給事業の運用に関わっています。

(1)事業の経緯

新地町は、2015年に国の「環境未来都市」に選定され、国立研究開発法人国立環境研究所と協定を結ぶなど、環境に配慮した新たなまちづくりについて検討を行ってきました。その過程で、相馬港の天然ガスパイプラインが近接する立地を活かしたエネルギー事業について「新地町スマートコミュニティ事業」として、民間を含めた産官学連携で検討が進められました。

その検討に基づき、高台移転したJR新地駅の再開とホテル・温浴施設などを含む駅周辺のまちづくりに合わせて、経済産業省の「スマートコミュニティ事業」を活用し、地域のエネルギー拠点となる新地エネルギーセンターが整備されました。2019年春から地域へ熱と電気を供給するエネルギー事業が開始し、2020年夏には新地町文化交流センターのオープンを迎え、新地駅周辺の環境共生型の復興まちづくりが実現しました。

新地エネルギーセンター

(2)システムの特徴

本事業のエネルギーシステムは、相馬LNG基地に荷揚げされる天然ガスを活用し、コージェネレーションシステムやその排熱を利用する熱源機器と、再生可能エネルギーである太陽光発電と組み合わせて、電気と熱を対象施設に供給しています。

また、耐震性に優れる天然ガスパイプラインからの天然ガスを燃料とするコージェネレーションシステムと、太陽光発電・蓄電池を組み合わせて、災害時にも自立電源と活用することで、災害に強い地域づくりに貢献しています。

新地駅周辺のエネルギー供給エリアと熱導管・自営線エネルギーシステムフロー

(3)実現の成果と今後

本プロジェクトでは、環境未来都市に相応しいまちづくりを推進する町と、地域のエネルギー会社、エンジニアリング会社、メーカー、コンサルタントなど民間の知見とノウハウ・実行力を加えた推進体制によって、この規模の地方都市では見られない面的エネルギー利用による高効率かつ自立分散型システムによるスマートシティが実現しました。

その取組みが高い評価を受け、コージェネ財団が、新規性・先導性・新規技術および省エネルギー性などにおいて優れた事業を表彰するコージェネ大賞2020において、「新地町スマートコミュニティ事業/復興まちづくりに貢献するコージェネ」が優秀賞を受賞いたしました。

本事業の具体化に際しては、町と民間企業が連携し、2018年に新地町と12の民間企業・団体が出資し、エネルギー事業の運営母体でもある「新地スマートエナジー株式会社」を設立しました。弊社も出資会社のうちの一社であり、企画・構想から始まって、調査、設計、工事から、運用・事業展開まで本プロジェクトに参加し続けています。

今後も、更なる再エネ導入や、新たに進出予定である施設農業と連携してコージェネレーションシステムの排気ガスのCO2回収・植物への育成利用するトリジェネなど、エネルギーを軸とした復興まちづくりに貢献していくことが期待されています。

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コージェネ大賞2020

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